長時間労働が美徳とされる日本とは対照的に、ドイツでは「短く働いて高い成果を出す」働き方が主流です。実際、ドイツ人の年間労働時間は日本の約3分の1にもかかわらず、生産性は日本より1.5倍も高いといわれています。その秘密は、仕事と休息のメリハリ、効率的な業務の進め方、そして働くことへの意識にあります。本記事では、ドイツ流の「少ない労働時間で高い成果を出す秘訣」を解説し、日本人が学べるポイントを探ります!
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ドイツ人の1日
ドイツの朝は早く朝6時から、1日の始まりに向けて動き出します。
電車の中では通勤客が新聞を読んだり、音楽を聞いたり、カフェが開店の準備を始めたりと徐々に活気づき始めます。
個人の時間を大切にする
ドイツ人は朝早くから働き、夕方には帰宅する生活が一般的です。
早起きの人は、7時前から出勤し午後3時頃には1日の業務を終えています。そしてなんと残業は一切しません!
ドイツでは個人の時間を重視し、労働時間内で仕事を完結させてしまうのです。
カフェスペースが併設されている
ドイツの職場ではカフェスペースがあるのが一般的です。
そこでは朝の15分ほどのカフェタイムがあり、職場の同僚たちと雑談や仕事の話をします。

ねぇ、週末はどうだった?

子供と公園で遊んでリフレッシュできたよ!

それは良いね!天気も良かったしね。

そういえば、新しいプロジェクトの進捗はどう?

先週のプログラムの問題は解決してる。これから他部署と最終確認をするよ
このようにフリーでフラットな空間として機能しています。
日本における、かつての「喫煙室」のような役割を果たしています。喫煙率が高かった時代では会社の重役の多くが喫煙しており「重要な人事は喫煙室で決まる」と言われていたことがあります。
オフィスやデスクは広く使う
ドイツではオフィスでの環境にも最大限配慮しています。
まずデスクは1人2台で作業するスペースを広く確保しています。そして、横の席とは2メートル以上空けプライバシーを確保しています。
また天井も高く設計され開放感ある作りになっています。観葉植物が置かれていることも珍しくなく、書類で圧迫されるような日本のオフィスとは異なります。

この広いスペースがあるから集中できるし効率が上がるんだ。日本のオフィスは狭くて衝撃だったよ!
「思考のスケールは作業スペースの広さに比例する」と多くの書籍で紹介されていますが、ドイツはそれをオフィス単位でやってのけてしまうです。
退勤時にはデスクからモノが消える
ドイツ人の生き方の基本原則として「人生の半分は整理整頓」という考え方があります。
これは多くの家庭で幼い頃から教育されているようです。

モノを置く場所は決めて、使ったら、元の場所に戻しなさい
日本では血液型がA型で几帳面な人のイメージがあるかもしれませんが、ドイツでは多くの方がこれを実践しています。血液型は関係ないのです!
デスクも退勤時間が近づくと、皆片付けを始め退勤する時にはデスクに何も置かれていない状況になります。整理整頓を徹底することで、探し物をするムダを削減できます。そういったムダを省き集中力を高め、ストレスを軽減し効率を上げるのがドイツ流なんです。
ドイツの社会の仕組み
ドイツの企業では、一般的に年間30日の有給休暇が与えられます。さらに完全週休2日なので祝日を加えると年間で110日ほどの休日があります。合わせると年間140日も休むことになるのです。
1年365日なので、1年の4割ほどはお休みなんです!
しかも残業は基本なし、年間140日の休みがありながら高い生産性を維持しているのです。
有給は取得しなければならない
1963年に導入された「連邦休暇法」に基づき、ドイツ人の平均有給休暇取得日数は30年以上30日を下回ったことがありません。日本では平均10日ほどなので、ドイツの高い有給取得率が伺えます。
ドイツでは有給休暇取得は労働者の当然の権利として位置付けられ「取らなければならないもの」とされています。最近日本でも、そういった風潮が浸透してきていますが実際はまだまだといったところです。
ドイツの哲学では「個人主義」が発展しました。
それは単なる自己中心的な個人主義ではなく、「主体性」や「自己実現」と深く結びついたものです。特に、カント、フィヒテ、ニーチェといった哲学者の思想が大きな影響を与えています。
つまり「自分の人生は自分で構築する」という考え方が強く根付いているのです。この考え方が個人の時間を大切にする働き方に影響しています。
労働者に対する歴史
19世紀の「産業革命」以降、多くの労働者は工場で働くようになりました。
しかし、この頃の環境は悪く長時間労働が常態化していました。しかし、その後労働者がその環境に異を唱える労働運動が始まります。
その時の権力者であったオットー・フォン・ビスマルクは「医療保険法」「労災保険法」「年金保険法」を制定し、労働者に優しい国になりました。

また第二次世界対戦後には「社会的市場経済」が政策として実現します。
これは社会主義経済を否定すると同時に、一部の富の独占による労働者の貧困も防ぎながら、競争と社会的秩序を両立させました。そして、その後発展を遂げたドイツでは、労働者の生活の質を重視しワークライフバランスをを大切にする労働観が定着したのです。
大学卒業後でも正社員にはなれない
ドイツでは大学を卒業しただけでは就職できません。日本だと考えられませんよね。
なぜならドイツでは「即戦力」が当たり前で、入社初日から成果を求められます。
なので多くの学生は大学卒業後に、専門学校に通ったり、企業のトレーニングプログラムの訓練生になったり、大学院で学んだりします。

つまり「ジョブ型雇用」が当たり前なのです。日本でもジョブ型雇用への移行はよく話題になりますね。
ドイツの教育制度
ドイツでは6歳から10歳の間で「グルンドシューレ」で基礎教育を終えた後に、将来の進路選択を迫られます。

「グルンドシューレ」とは日本でいうところの「小学校」だね
進路の選択としては大きく3つに分けられます。
①「ギムナジウム」(大学進学準備学校)
大学進学を目的とした学校で、言語や数学、自然科学、人文科など多岐にわたるカリキュラムが用意されています。修了すると大学への入学資格を得ることができます。
②「レアルシューレ」(実践的な学問を提供する学校)
この学校では「ギムナジウム」ほど学問に集中せず、実用的なスキルや職業教育が学べます。そして、その後は特定の専門学校や職業訓練校への進学が可能となります。
③「ハウプトシューレ」(職業訓練に焦点を当てた学校)
この学校では主に職業訓練が行われ、実務的なスキルと基本的な教育が行われます。卒業後は職業訓練校や特定の専門職への道が開かれます。

「ギムナジウム」=「中高一貫の進学校」、「レアルシューレ」=「工業・商業高校」、「ハウプトシューレ」=「専門学校」と考えると分かりやすいよ
早くから将来を固定してしまうのは一長一短ですが、最近では選択を後回しにできる「ゲザムトシューレ」という総合学校に通わせるケースもあるようです。
まとめ
ドイツの労働観や働き方、労働環境などを紹介しました。
日本でも「ジョブ型雇用」が話題になることがありますが、ドイツのジョブ型雇用を支えているのは教育制度ではないでしょうか。幼い頃から将来の選択を迫られるのはメリット・デメリットがありますが、その分専門性は高めることができるはずです。
日本のような「その他大勢」のような教育では「ジョブ型雇用」は難しいのではないでしょうか。
また、長く働く美徳みたいな文化は滅んだ方がいいですね。個人の時間を大切にする働き方を考えていくべきです。
参考書籍
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